さぽろぐ

日記・一般  |札幌市北区

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2007年08月23日

雪氷エネルギービジネスセミナー

蒸し暑い日が続きクーラーの有難さを実感しています。
先週の金曜日(8月17日)に北海道主催の「雪氷エネルギービジネスセミナー」に参加してきた。会場は道庁赤レンガ庁舎の会議室で、4基の冷房機(ファンコイルユニット)で冷房していた。この冷風は、庁舎の玄関脇に設置した雪冷房コンテナから送られていた。コンテナには1.5トンの雪が格納されているとのことで、雪冷房の体にやさしい風を体感できた。

セミナーの基調講演は、室蘭工大の媚山 政良 准教授の「氷室、雪冷房そして雪山」、事例発表は、道内自治体から美唄市役所の金子 幸江 主事の「黒ダイヤから、雪の白ダイヤへ」、道内企業から伊藤組土建の本間 弘達 係長の「雪冷房の事例紹介と将来像について」、道試験研究機関から北方建築総合研究所の月館 司 科長の「北方建築総合研究所の雪氷利用システム」があった。

媚山准教授によると、①雪1トンで石油を10リットル節約、CO2を30キログラム抑制できるので雪の冷熱エネルギーを利用すると省エネルギー効果と環境保全効果が得られる。②氷室は自然対流式の雪冷房で安定した低温・高湿度を実現するので農産物の安全・安心な貯蔵が可能。③雪冷房の温度と湿度は調整可能なので応用範囲は広い。④雪冷房は雪の表面や雪解け水で塵や埃、水溶性ガスを吸着削減できるため誰にも優しい。⑤雪冷房の初期コストは電気冷房より高いが、運用コストは安い。⑥雪堆積場の雪は冷熱エネルギーの宝庫。

先生はオープンな研究者として道内各地の人達と協働で次々と夢を形にしてきた。これからも利雪の技術を楽しみたいとのことで、実に生き生きとしていた。

美唄市では、産官学の連携で設立した「美唄自然エネルギー研究会」が活発に活動している。①マンション、住宅、福祉施設、温泉施設の雪冷房、②米穀雪零温貯蔵施設、低温発酵と熟成による「雪蔵手前みそ」、③雪山職人養成。

地元の雪の冷熱エネルギーを活用して地元経済を活性化し、まちおこしを進めている。

伊藤組土建は、本セミナー会場の冷房で使用した雪冷房コンテナを開発した。このコンテナは冷水循環式の雪冷房装置で、断熱した貯雪庫や雪山から供雪し、冷熱を安定的に取り出すことができる。ビジネスのヒントとして、①牛舎の雪冷房による夏場の安定した乳量確保、②空気清浄効果(雪のフィルター効果)の活用、③雪冷熱を利用した開花抑制、④雪冷熱を利用した水質浄化 など幅広く研究されている。

厄介物とされてきた雪は資源として有効活用できることが分かった。①冬の雪は雪国に固有の冷熱エネルギーとして夏場に利用できるので、雪堆積場の雪を溶かすのはもったいない、まちづくりに利用できないだろうか。②北海道の農産物の付加価値を上げるには、雪エネルギーの利活用を更に推進する必要があると思う。③大学などの研究者は地域の資源を活用して地域の役に立つ研究をますます進めてもらいたい。  


Posted by 中嶋 at 16:36Comments(0)中嶋