さぽろぐ

日記・一般  |札幌市北区

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2012年02月05日

サイエンスフォーラム「雪は天からの手紙か?」

昨日、札幌中央図書館で標記のフォーラムが開かれました。講師は元北海道教育大学教授の油川英明さんです。雪が振り続ける中、会場にはほぼ満員の約100名の方が来ていました。
雪の科学だけでなく雪の観察の歴史についても造詣が深く、古文書に出てくる雪の結晶のスケッチなどについて説明されました。古くから六花形であることは分かっていたようです。また、雪という文字も中国では箒を雪の下に付けていたとか江戸時代には由伎と表現していたそうです。雪が生活にどのように関わっていたかを示す表意文字の漢字ならではの表現力に興味を持ちました。

雪の結晶を顕微鏡で観察して写真撮影するためにさまざまな工夫を重ねたそうです。雪の標準的な結晶の大きさは3mm、厚さは10μm、重さは0.05mgなので、結晶が壊れないように、満遍なく結晶に光が当たるように、融けないように迅速に観察する必要があるからです。雪の結晶の断面を観察するには結晶を切り出さなければなりませんが、成功するまでに数ヶ月かかったそうです。地道な粘り強い取り組みの先に光が見えてきます。雪の結晶を立体的に捉えられるようになると、雪の結晶には平坦な「表」とギザギザしている「裏」があることが分かってきました。

油川さんは中谷宇吉郎が世界で初めて作成した人工雪の生成条件と自然雪の生成条件の違いに着目して実験し、結晶は過飽和の水蒸気だけでなく、過冷却の水滴からも成長することを動画で見せてくれました。水滴を次から次へと飲み込みながら成長していく様子が分かりました。
2時間弱の時間では十分に説明し切れなかったようですが、第一線の研究者の話に満足しました。
専門分野に精通すると、①新たな現象を発見したり原理を考え出したりする。②その姿に触発されて優秀な学生が育つ。ことかなと思いました。

札幌に来て2年目になるという人が「雪は厄介なものと思っていたが、今日の話を聞いて雪の結晶の美しさや雪の恵みを知ることができて、雪の見方が前向きになりました」と話されたのが印象的でした。
今回、説明されたことを含めて研究成果を一般向けに分かりやすく解説した本をぜひ出してもらいたいし、雪で困っている人が多いので、除雪を軽減するようなアイデアも提案して頂けるとありがたい。
  


Posted by 中嶋 at 17:14Comments(0)中嶋